コラム
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ビデオグラファーのための(持ち込み)結婚式撮影マニュアル vol.2
撮影1.外観、物撮り、メイクシーン
会場外観
どんな会場で結婚式を挙げたのか、という記録の意味合いでも会場外観の撮影は重要です。
撮影においては足を使うことを厭わず、会場全景が入るよい構図を探して撮影しましょう。
その際、周辺の看板類や電線、標識などにも気を配り不要なものはフレームから排するようにしてください。
また、外観のカットは編集時のオープニングカットとして使われることも多いため、タイトルを挿入できる余白をあらかじめ計算し撮影することも考慮しましょう。
なお、商業ビル等に入っている会場の場合は必然的に外観が撮れない、または撮ってもあまり意味がないのでその場合は省略しても問題ありません。
その代わりにエントランス等で会場のロゴなどを撮影しておくとよいと思います。
また、外観撮影の際に、季節感のわかる草花等があれば撮影しておくのもおすすめです。
映像では表現することが難しい気温や日差しなどの肌感覚を、「その日」を思い出す要素として残しておけるとよいでしょう。
物撮り
メイクアップまでに余裕があれば、物撮りをしておくのもよいと思います。
指輪やブーケ、ティアラ等のアクセサリーはこのタイミングでないとほぼ撮影ができません。
また、ご両親に宛てた手紙があれば撮影しておくのもよいと思います。
これらのアイテムは、多くの場合フォトグラファーが物撮りを行うと思いますので、譲り合いながら撮影を進めて下さい。
なお、デジタル一眼レフ撮影の場合はマクロレンズを用意しておくと有用です。
撮影場所は館内の任意の場所になりますが、外光が柔らかく入る窓辺等があると撮りやすいかと思います。
ゲストの往来があることも多いですので、邪魔にならないように十分に配慮してください。
また、こうした物撮りの際には各アイテムの取り扱いに細心の注意を払ってください。
紛失するなどというのは論外ですが、落としたりも絶対にないように慎重に取り扱いましょう。
状況次第でそうした余裕がない場合は、無理に撮影する必要はありません。
メイクシーン
ブライズルームへの入室が可能な場合は、是非メイクシーンを撮影しましょう。
通常、新郎の支度の方が新婦よりも早く仕上がりますので、まずは新郎とコミュニケーションを取りながら撮影を進めます。
このあたりから新郎も少しずつ緊張感のある表情になってくることが多いので、そうした重みのある表情などを狙うとよいと思います。
また、画になりやすい動作としては
- 靴ひもを締める
- カフスを留める
- ネクタイを直す
- ジャケットを羽織る
などが挙げられます。
フォトグラファーが新郎にポーズ指示などをする場合もありますので、その際に撮影してしまうのもよいでしょう。
新婦の撮影は、ウェディングドレス(チャペル式の場合)を着終わり、メイクもほぼ済んだ時点で可能となるケースがほとんどです。メイクシーンでの代表的な画は、リップシーンになります。
ヘアメイク担当のスタッフに協力してもらい、撮影を進めましょう。
リップシーンの他にはグローブの着用やヴェールを着ける動作などがこのシーンの代表的な画になります。
このメイクシーンで、花嫁になる瞬間の表情を捉えることができたら素敵ですね。
なお、ブライズルームは撮影を前提とした部屋ではありませんので、広さが十分でない場合もあります。無理な撮影をしてドレスに機材をひっかけたり、周りの備品などを破損したりすることがないように十分注意してください。
また、ホテルが会場の場合は、ブライズルームではなく客室でお仕度の場合もあります。
基本的にはブライズルームでの撮影と同様でよいと思いますが、高層階で景色がよい場合はその眺望を撮影したり、新聞が届いていれば日付の部分を撮影したりというのもよいと思います。
以前、私が客室でのメイクシーンを撮影したときのことですが、ちょうどテレビが点いていて、オリンピックで羽生結弦選手が金メダルを獲ったというニュースが流れていたので、それをほんの数秒ですが撮影しました。
こうした時事ネタの画がワンカットでもあると、後に「そう言えばあの時こういうことがあったね!」など話題が広がるのではと思います。
※注:ネガティブなニュースの場合は撮る必要はありません!また、ここで時間を取ってしまうと次の進行に支障が出る場合がありますので、介添え担当のスタッフの動きやタイムテーブルなどをチェックして手早く切り上げるように配慮する必要があります。
ファーストミート
メイクアップ後に行われる人気のイベントがファーストミートです。
ファーストミートを行う場合は新郎新婦が別々にお仕度をし、お互いの姿をここで初めて見ることになります。
一連の流れがとても動画向きですので、ポイントを押さえてしっかり撮影しましょう。
パターン1
新郎が後ろ姿でスタンバイしているところに新婦が歩み寄るスタイルです。
- 新郎が館内廊下やチャペル等でブーケを手に待ちます。
- 新郎の背後から新婦が歩み寄り、新郎の肩をトントンして新郎に振り返ってもらいます。
- お互いの反応後、新郎が手にしたブーケを新婦に渡します。
パターン2
新婦が後ろ姿でスタンバイしているところに新郎が歩み寄るスタイルです。
- 新婦が館内廊下やチャペルなどで待ちます。
- 新郎がブーケを手に新婦の背後から歩み寄り、新婦の肩をトントンして新婦に振り返ってもらいます。
- お互いの反応後、新郎が手にしたブーケを新婦に渡します。
パターン1と2は基本的に新郎と新婦が入れ替わるだけになりますので上の図の新郎と新婦を読み替えて当てはめてください。
また、ここでのポイントは②の移動タイミングとなります。
多くの場合フォトグラファーがリードしますので、事前にしっかりと動きの確認をしておきましょう。
動きを合わせないと肝心の瞬間を撮り逃してしまうだけでなく、お互いが写り込んでしまうことにもなりかねません。
パターン3
新郎新婦が扉やカーテン越しに向かい合い、合図で扉(カーテン)を開けるスタイルです。
- 扉(カーテン)に向き合う形で新郎新婦それぞれがスタンバイ
- 合図で扉(カーテン)を開く
- 新郎新婦が互いに歩み寄る
このパターンはさほど動きが難しくありませんが、上記パターン1、2同様にフォトグラファーと動きやポジションの確認をしっかりしておきます。
撮影の第一優先としては、花嫁になった新婦を見た瞬間の新郎の表情になりますので、新婦側で待機し、新婦の肩越しくらいで新郎の登場を狙うとよいと思います。
この時、待機している側とその外側とで露出差や色温度の差がある場合は、瞬間的な対応も求められますのであらかじめ準備しておきましょう。
また、このシーンは2人の世界、空間を演出することも重要ですので、スペース的に可能であれば新郎新婦とは少し距離を取り、標準から中望遠程度の画角で撮影することが望ましいです。
挙式リハーサル
お支度が整いましたら、親族紹介や親族集合写真、型物撮影などが行われます。
持込の場合は特に会場のスタジオには入れないことがほとんどですので、このタイミングで挙式に備えバッテリーチェックや挙式の内容確認等を行うとよいでしょう。
挙式リハーサルですが、本番と同様にチャペルで行われる場合は、本番時の万一のトラブルに備えて寄りのインサート映像を撮っておくと安心です。
この時、本番とは異なり列席者がいない状態での撮影になりますので、インサートに使用しても違和感がないように背景の処理を考慮して撮影してください。
さて、当日の撮影序盤はこんな感じですがいかがでしょうか?
会場によってメイクシーン撮影NG等、対応が様々だと思いますので、可能な範囲で結婚式一日の様々なシーンを撮影してください。
さあ、いよいよこの後は挙式本番の撮影になります!